ジェネリック医薬品のすすめ
ジェネリック医薬品という言葉を聞いたことがあっても、詳しくは知らないという人は多いのではないでしょうか?
ジェネリック医薬品とは、新薬の特許が切れた後に製造販売される薬のことです。
新薬と同じ有効成分で作られ、法律に基づいて厳しい基準や規制をクリアしています。
新しい薬を作るには約数百億~数千億円の莫大な開発費や、十年以上の研究期間が必要です。
販売までにかかる金額と時間を考えると、新薬の価格が高いのは納得ですよね。
それに比べてジェネリック医薬品は、研究費や開発時期がかかっていないため安く提供できるのです。
今回は、意外と知られていないジェネリック医薬品について紹介します。
ジェネリック医薬品と先発薬の違い
先発薬とジェネリック医薬品の大きな違いは研究期間・開発費です。
先発薬(新薬) | ジェネリック医薬品 | |
研究期間 | 約9年~16年 | 約3~4年 |
開発費 | 数百億~数千億円 | 約一億円 |
ジェネリック医薬品の有効成分は、新薬の特許期間中に効果や安全性が徹底的に確認されています。
医薬品、医療機器等の品質、有効性および安全性の確保等に関する法律によって、厳しい規制・基準をクリアし、製造開発されています。
患者さんへの処方が始まる前に、さらに厚生労働省の審査をパスしなければ世に流通できません。
新薬と同じくジェネリック医薬品も厳しい審査をクリアした薬。
大きな違いは研究期間や開発費ですが、他にも薬の形や添加物などが異なっています。
先発薬と同じでないといけないところ
変えてもいいところ
有効成分・用法用量・効果効能
剤形・色・味・添加物など
ジェネリック医薬品は、先発薬のデメリットや使いづらさを改善されたお薬が多くあります。
・薬が苦い場合→飲みやすいように味を改良
・錠剤が大きくて飲みづらい場合→水なしでも飲めるOD錠やゼリー状、サイズの見直しなどで飲みやすく改良
など患者さんや医師の声を元に、使いやすく飲みやすい薬へと改良しているのがジェネリック医薬品なのです。
ジェネリック医薬品が発売されるまでの試験
ジェネリック医薬品は、新薬と同等の効き目でなくてはいけません。
効果が同等なのかを確かめるために、さまざまな試験が義務付けられています。
【品質試験】
厚生労働省が定めた規格や試験方法を行い、有効成分の含有量・溶出性・純度などの品質を確認するための試験を行ないます。
【安定性試験】
製造している工場から病院やクリニックへの流通期間中、品質が保たれるのかを検査します。
太陽の熱や光、湿度などで変化が起こってしまっては、薬の効果を十分に発揮できません。
患者さんが服用するその時まで、薬の品質が保たれるのかを確認します。
・加速試験
・長期保存試験
・苛酷試験など
【溶出試験】
医薬品から溶け出した有効成分の量を確認する試験。
先発薬とジェネリック医薬品をくらべ、溶け出す速度や経過時間を測定します。
【生物学的同等性試験】
薬の有効性や安全性に差がないか確認する試験です。
新薬とジェネリック医薬品を同じ人に交互に服用してもらい、成分の血中濃度を比較。
薬の効果の出方や、作用時間、副作用などに違いがないか確認します。
日本でジェネリック医薬品が勧められている理由とは?
新薬と同等の効果がありながら、薬の価格がお手ごろなジェネリック医薬品。
数年前から、日本政府もジェネリック医薬品の使用を推奨しています。
なぜ政府がこんなにもジェネリック医薬品の使用を促しているのか。
それは、日本の医療制度にありました。
日本国民は、国民保険に加入することが義務付けられています。
病院やクリニックなど医療機関を受診した場合、ほとんどの医療費は保険が適応されています。
全額を支払うのではなく、原則的には3割負担。
残り7割の医療費は、健康保険組合や市区町村が支払っています。
私達が加入している保険組合へ支払った保険料と、公費で補われているのです。
日本の医療費はなんと年間40兆円と言われています。
毎年1兆円のペースで増え続けており、このままでは国民皆健康保険制度の維持ができない状況に陥るかも知れません。
日本政府は医療費の負担を減らすために、ジェネリック医薬品の使用を推奨しているのです。
いつも飲んでいる薬をジェネリック医薬品に変えることで、約3~5割も安く薬が手に入る場合もあります。
ジェネリック医薬品を選ぶことで、国の医療費の負担を軽減し私達の薬代も安くなるのです。
世界のジェネリック医薬品普及率
世界ではジェネリック医薬品は一般的な薬で、多く流通しています。
WHO(世界保健機構)は、ジェネリック医薬品の使用を推奨。
アメリカは90%以上普及しているといわれ、イギリス、フランス、ドイツは、70%以上ジェネリック医薬品が普及しています。
ジェネリック医薬品は、先発薬と有効成分や効果が同じであり安く購入出来る薬です。
さまざまな厳しい試験に合格しているので、安心して服用できます。
薬代も安くなり、国の国民皆健康保険制の維持にも役立つのです。